百万遍

 初めて京都に行った時に印象深かったのは、市内を大量に走り回るバスの行先表示によく見かける「百万遍」という文字であった。 

  なにしろ、キャンパスのすぐ目と鼻の先が「百万遍交差点」なのだから、この「百万遍」というヘンテコな名を毎日見ない日はないというものだった。 

  他の土地では見られないユニークな駅名が、いかにも京都らしく堂々と掲げられているのに妙に感心したものである。 

  この「百万遍」の由来を調べてみると「百万遍知恩寺」という、お寺の山号に由来があることがわかった。 

  浄土宗総本山であり、またあの京都三大門といわれる立派な山門と除夜の鐘でも有名な「知恩院」と名前が似ているが、こちらの「知恩寺」の方はいわゆる観光寺社ではないだけに、あまり広くは知られていないと思う。 

  以下は「知恩寺」Webページからの引用だ。             

  ≪通称は百万遍、正式には百万遍知恩寺で浄土宗の四本山のひとつです。 

  交差点は百万遍、そして正式な地名に百万遍は存在しないけれど、皆がこの辺りを百万遍と呼んでいます。 

  百万遍知恩寺は、賀茂社の神宮寺としての起源を持ちます。 

  そんな由来もあって、浄土宗としては珍しく境内に賀茂明神の分社が鎮座していたりします。    その後、相国寺の北側に在って丈六の釈迦像を安置していたところから今出川釈迦堂、賀茂の釈迦堂と云われていました≫ 

  ≪百万遍という名は、元弘元年(1331)に疫病が大流行した折りに八世円空上人が、後醍醐天皇の勅命により御所の紫宸殿に7日間籠もって念仏を百万遍唱えたところ、疫病は治まった事から後醍醐天皇より、百万遍と云う寺号を賜ったところからだと伝わります。 

 その証、門前には百万遍念仏根本道場の石碑が、名残を留めています≫ 

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